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パトリシア・コーンウェル「検屍官」シリーズ(2007年1月8日)
長年積読(つんどく)になっていた、パトリシア・コーンウェルの「検屍官」シリーズに手を出してみました。1990年代の少し古いミステリですが、数々の賞を獲り、日本でも人気のあるシリーズです。話の運び方という点では、昔読んだアシモフの「鋼鉄都市(注:SFミステリというジャンルを切り開いた古典的名作)」の方が引き込まれましたが、この検屍官シリーズは登場人物の描写になかなか味がありますね。
主要登場人物の中に、男をとっかえひっかえしている主人公の妹がいるのですが、例えば、この妹が作中どう描かれているか少し引用しますと
"Dorothy wrote excellent children's books and had won several prestigious awards. She was simply a failure as a human being."
とか、
母親が愚痴る際出したFredという男の名前について
"Dorothy had gotten divorced again last summer. I did not ask who Fred was."
などと、ある意味諦観の境地に達している(笑)主人公の心情をスパッと切り取ってみせています。
ところで、主人公、Dr.Kay Scarpettaの仕事内容は日本語版で「検屍官」シリーズと銘打たれているところからも分かるモノなのですが、作中主人公が自分はcoronor(検死官)ではなく、medical examiner(監察医)であると誤解(というか一般市民にしてみればどっちでもいいような細かい点)について説明するくだりもあります。それによるとcoronorは官吏で必ずしも医者の免許は必要ないが、medical examinerは医師になるための専門教育を受けた上で医師免許を保持している必要があるとのこと。このあたりは作者パトリシア・コーンウェルが主人公と同じような職場で働いていた経歴を生かして丁寧に書き込んでいる部分でしょう。X-Fileのスカリーもほとんど同じ仕事をしていますがあちらはFBIの捜査官(Dr.Kayは警察には所属していない。ただし第四巻「Cruel and Unusual」時点)と、少しポジション的に違いがあるようです。

